テオの銀の雨降る日々

 詳しくは<<はじめに>>をご参照ください。


重症四日目の部屋で――【6/26 テオ記す】

 幻が淹れてくれた茶を含んだ途端、俺は思わず噴いた。
「…汚いですね、もう」
「な、なんだよこれっ!」
 口の中の得体のしれない後味に、俺は悶えた。変なぬめりまで無いか、これ?
「サンファ茶です。韓国の薬膳茶で、体にとてもいいんですよ。
 慣れるとおいしいそうです」
 幻が目を細めながら――どこか迫力のある笑顔で言う。
「……わ、分かったよっ」
 異様に癖のある茶を、俺は一気に煽る。
 杏子系の甘みと、薬膳の苦みと香が混じり、口の中で弾ける。

 …あー、俺は絶対にダメな味だ。


 涙目で「まずい」というと、幻はその笑みを少しだけ和らげた。
「また重傷になったりなんかするからです」
 要するに、心配をかけたことに対する意趣返しということだ。


 ……もう、幻を怒らせるのはやめておこう。うん。


「そう言えば、学園に行っていますか?」
「いや。
 今日は休んでる。…静養に集中しようと思ってさ」


 いつ何があっても動き出せるように。
 いつ、捻子蟲の情報が分かっても、すぐに反応できるように。
 そのために早く体を治さなきゃいけないと思ったから。


「じゃあ……ひょっとしたら、ここ(寮)の人から聞いてるかもしれないけれど」
 幻が少しだけ口を濁し……そして開いた。


「今日、アルバートさん達吸血鬼が、正式に学園に合流しました」



 俺は言葉を失った。


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テーオドリヒの日記 | コメント:1 | トラックバック:0 |
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この記事のコメント

 背後が韓国で泣きを見たのが、サンファ茶です。
 韓国茶は美味しいものが多い(ゆず茶、トウモロコシ茶など)のですが、これだけは漢方薬のような味と香りで…(遠い目)。

 好き嫌いが分かれるお茶です。薬っぽさが苦手な人はまずやめた方がいいでしょうね。
2008-06-28 Sat 19:03 | URL | Urara(背後の人) #XZ039GEA[ 編集]

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