テオの銀の雨降る日々

 詳しくは<<はじめに>>をご参照ください。


プレイング【<華爛漫> 流れる小川、舞う桜花】

 4月1日朝7時までにお知らせくだされば修正可能です。
 ご指摘や修正してほしい場所がある方はお知らせください。
 プレイングでの、テオへの多少の弄りなら喜んで受け入れます。



【蜘糸商会】の結社の皆と参加。

【心境】
 結社のみんなと遊びに行くのは初めてだよね。
 すっげー嬉しい!

 ……ここが、俺の、今の居場所なんだよ(残りの言葉は、呑み込んで)。

【行動】
 水の近くで花見のはず(食い違いがあれば他の方に合わせます)。
 俺は靴を脱いで水の中に入ってみる。
「うへ、冷てぇっ」
 一緒に入った先輩の顔に、こっそり飛沫(ちょっとだけ)をわざと掛けて、
反撃されないように逃げるよ。
 で、その間にお弁当を食べてる先輩達に手を振ったりさ。

 …水が冷たいから、歩く程度の早さだし、反撃される可能性は高し。

 後は、冷えた足を拭いて、日向ぼっこしながら皆の話に加わるよ。


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

背後 | コメント:0 | トラックバック:0 |

背後の初戦争とBGM

 とうとう、明日は戦争ですね。



背後の初戦争とBGM…の続きを読む

テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

背後 | コメント:0 | トラックバック:0 |

戦術・戦略勉強会? ――【3/28 テオ記す】

「…あ、頭が痛ぇ…」
「羅久井先輩オリジナル・ブレンドのハーブティが入りましたよ。
 はい、どうぞ」
「幻君、俺も…」

 俺と幻はポジション結社を途中で抜けると、俺達の下宿に戻っていた。
 同じく結社を途中で抜けてきた勇介がやってくる。

 春休みだけあって、結社内に泊まり込むつもりの先輩も多かった。
 だが俺達は気力温存のため、自分のベッドに戻ることにしていた。




「…そっちは大変みたいですね」
「うーん。『ラストスタンド』の効果も役割も、戦術・戦略に直結してるからな。
 そのあたりになると、頭がパンクすんぜ」


 …い、今、思い出しても頭が…。



「俺、アンケート用紙の印刷でやっちゃったよ…」
 勇介が地の底まで凹んだ声で言う。
「アンケート用紙の原稿で、二度も間違った…。
 それも、二度とも輪転機が回った後に、間違いが発覚した……」
 なんだか、こいつも大変だな。


「まぁ、メディックは気持ち、楽だよ。
 こっちは救護班だから、考えることは多いけれど、戦略的な部分はあんまり関係ない。
 ひょっとしたら、こっちこそ幻君向きだったんじゃない?
 現場ではお茶とかを配れるよ」
「……勇介君、私のことを『お茶さえ配れれば満足』とか思っていませんか?」

「「思ってる」」

 奇しくも俺と勇介の声が唱和する。

「まぁ、否定はいたしませんが」
「「否定しなよ」」



「とりあえず、差し入れは貰って行ったよ。マカロンは好評だった」
「常連先の茶葉専門店のマカロンですからね。お茶にはぴったりでしょうね」
 そう言って、幻はハーブティを一口啜った。


「キャスターの方も、ラストスタンドと大幅に変わることはありませんね。
 ただ、結社の方と、先輩のおかげでなんとか全てのアビリティは覚えられました。
 少しは戦えそうです」
 そして幻は傍らのミージュを見つめた。
「ミージュには、少し申し訳ありませんが…」
 ミージュは通常のモーラットに退化していた。
 ゴーストを使役することは、使い手に少なからぬ負担を与える。
 今回、その負担が致命的になりかねないということを考え、幻は苦渋の決断を下したのだ。


「あ、勇介。おまえの伝言、伝えといたから」
「ありがと、テオ君。すっごく助かる」


「…俺は、やっぱり後衛で頑張る。
 前衛には限界がある」
 黙示録とBCの結果を思い出し、俺は横に振った。
 今回参加した理由には、実践訓練と同時に『前衛としての模擬戦闘』というのもあったのだ。
 結果は…。

「凌駕が発動するのは早かったよ。
 先輩達の火力ですら持ちこたえられないなら、後衛で行くしかない」

 『ラストスタンド』結社での議事録コピーを読み返す。

「治癒を拒絶する『クロストリガー』も危険すぎる。
 『フレイムキャノン』を、最大火力で叩き込む。
 鬼に当てんのは難しいけど……くだ狐とゴーストには当てられる」
 俺は自分に再確認する。


「頑張って、皆」
 勇介が頷く。
「最悪の自体には、俺達メディックも最終防衛線での撤退に参加するから」

「テオ君、無理はしないで下さいね」
 幻が俺を見据える。
「生命賛歌にも限界があります。
 …絶対に、無理はしないで」
「信頼ないな」
「テオ君は、負けず嫌いだもん」
 勇介が幻の援護に回る。

「それに…どっか、生き急いでる。
 だから、俺はメディックになったんだ。…君を救護するためにね」


 言い返す言葉が、出なかった。


「帰る場所がある人間を、命がけで守りたいという気持ちがあるのはわかります。
 でもあなたにも…、居場所があるんです。
 それを忘れないで」

 俺は彼らの言葉をかみしめ…頷いた。
 

テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

テーオドリヒの日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

テオの初バストアップ・イラスト

 テオの初バストアップが完成しました。



テオの初バストアップ・イラスト…の続きを読む

テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

背後 | コメント:0 | トラックバック:0 |

イベントシナリオ、2本帰ってきました。

 幻、テオの参加した2本のシナリオが帰ってまいりました。



イベントシナリオ、2本帰ってきました。…の続きを読む

テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

背後 | コメント:0 | トラックバック:0 |

報告書【氷炎の狼 テーオドリヒ・キムラ】-04

【III-i】


「あいつだけは――ほんとに両親を吸血鬼に殺されたらしい」

 能力者達は、洗脳を解かれ、落ち着いたはずの人狼騎士を訪ねた。
 騎士は彼らに、思いがけない言葉をかけた。

「実際、彼の両親は死体で見つかっている」
「うそ…」
 能力者の一人が、絶句する。
「見つかっている、って…」
「私はある吸血鬼を追っていた。
 その途中で、現場検証をしている光景を見つけた」

 雨中のことだった。
 『同僚を殺された』といきり立つ警察官の近くで、犬が――いや、首輪をした狼が震えていたのを彼は見つけた。
 その狼は、震えながらも事件現場を睨みつけていたという。
 彼はその狼を保護した後、自分たちのキャンプで事情を聴いたのだという。

「俺は、あの吸血鬼だけは許さない。
 テオも同じだろう」
 暗い瞳をしながら、彼は言う。
 そこで、彼の洗脳解除を担当していた別働班が間に入った。
 これから彼には、人間との友好関係を築かなくてはいけないのだから。
 

「…ありがとうございました」
 彼らは頭を下げ、そこを離れた。



テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

報告書【テオの過去話2】 | コメント:0 | トラックバック:0 |

背後の初戦争

 ということで、戦争が来ちゃいました。



背後の初戦争…の続きを読む

テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

背後 | コメント:0 | トラックバック:0 |

ゆきやなぎ(3/3)――【3/20 テオ記す】

  ゆきやなぎは、確かに咲き誇っていた。
 そこは確かに山の奥に隠された、小さな秘境だった。

 白い花が溢れるように咲き乱れ、滝のようにしな垂れて。
 そして、先輩達が挿し木したものも、ちゃんと根付いている。

「私もいいですか」
「ほら」
 俺達はオペラグラスを回し、崖下の様子を観察した。


 そしてコップを『7つ』、用意する。
 4つは俺、幻、勇介、ミージュの分。そして。
「いちばんいい緑茶、用意しました」
 幻がポットから、崖側の3つに茶を注ぐ。

 花の香りを殺さないように。そう言いながら、幻はシンプルな緑茶をポットに詰めてきたのだ。
「俺と勇介とで、握ってきたんだ」
 やや不格好なおにぎりを、そっと供える。


「なぁ、見えるか?
 あんた達が心を残して逝った花は、また咲いたよ」



 先輩達と一緒に『送った』少女と夫婦に、俺はそっと語りかける。



「遺されたものは、大切にする」


 せめてあんた達が、新しい居場所で安らげるように。
 それが追悼として正しいものなのか、分からないけれど。


「私達は忘れません」
「俺も、この光景は忘れられないよ」

 幻と勇介も、手向けの言葉を口にする。その様子を、ミージュが不思議そうに眺めている。


「だからせめて――向こうで見守っていてくれ。この地を」


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

テーオドリヒの日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

ゆきやなぎ(2/3)――【3/20 テオ記す】

 戦いの記憶が過り、俺の体が強張る。
 その肩を、幻がそっと叩いた。
「あっちからだ」
 勇介と言えば、崖の方に駆け寄り、無造作に覗き込む。

「咲いてるよ!」
「危ねぇから、こっちに戻ってこいよ」
 勇介はにぃ…と笑って、立ち上がり、片足を持ち上げる。

 …悪ふざけすんなら、ミージュをけしかけるぞ。こら。

「勇介君、昼ごはん抜きますよ?」
 幻が笑顔のまま、呟く。

「って、ああ、ごめんっ!」
 勇介は慌ててこちら側に走ってくる。
 ぽかっ。
「痛いよ、テオ君っ」
「心配させんな、わざわざ」
 俺が膨れると、勇介は半分は神妙そうに、半分は嬉しそうな顔をした。
 …器用な奴。


「近づくなら人目を確認後、一応イグニッション推奨な」

「イグニッションするより、最初からロープを結んでおく方がいいですよ。
 特に勇介君」
「そだな」
「ええーーっ」
「笑いながら抗議しても、説得力ねぇぞ。勇介」


 楠の大木は、あれから変わらず立っていた。
 俺達はそれぞれロープに体を結びつける。
 そしてミージュを解放すると、崖近くにビニールシートを敷いた。


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

テーオドリヒの日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

鬼の居場所――【3/21 テオ記す】

『大きめのノートがあった。』

 ……読み進めるほどに、強い吐き気がした。
 報告書のコピー、そのものが、おぞましく感じた。


 かたん、かたかたかた……。

 
 ティーカップを掴む幻の手が、小刻みに震える。
 彼の眼の前にも、同じく『陰陽計画本拠地発見』の報告書がある。


 普通に暮らしていた人々が、ある日突然、狂気とともに『人でなくなる』。

 こんなことって…。

「こんなことって、ないです…」
 幻が小さく呟く。

 俺は幻の入れたルイボス茶を一気に煽った。
 ……喉が湿った気がしない。

「……許せねぇよ、こんなこと」
「テオ君は…戦うんですか?」
「ああ」

 銀誓館での戦争は、初めてだ。
 まだその決まりも、よく分かっていない。
 …だけど…。

「幻は、どうする?」
「分からない、分からないよ。
 『ボク』、まだ死にたくない!」
 彼はそう言ってうずくまった。

「……幻、お前は死なない。大丈夫だ。
 不安なら、炊き出し班にでもいればいいんだからさ」

 俺は幻の肩をそっと叩くと、今度は作戦の概要書を読み始めた。



参考:『狂鬼動乱〜そして、真実はあまりに儚く』

テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

テーオドリヒの日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

ゆきやなぎ(1/3)――【3/20 テオ記す】

 春分の日。
 春が始まる、その区切りの日に、俺達は再びあの地を訪れていた。

「テオ君、まだ早いんじゃないの…?」
 勇介が息を切らしながらそう呟く。
「う……」
 確かに、その日の名前とは裏腹に、まだ冬の匂いが残っていた。
 山に踏み入るほど、春の訪れは遅くなるからだ。

「い、いや! 調べたらこの時期に咲くのは間違いないんだ!」

「……負けず嫌いも程ほどにした方が……。
 さもないと自滅しますよ」
 幻の苦笑混じりのツッコミが、耳に痛い。

「と、とにかく行くぜ」

 山歩き初心者で、体力も無い勇介と。
 体力はあるけど、体を使うことが苦手な幻と。

 そんな二人をフォローしつつ、俺はゆっくりと登って行った。





 春の匂いは、だけど確かにこの地にやってきていた。

 刺すような冷たさだった風も、心なしか柔らかになっていて。
 葉ずれの音も、鳥たちの声も、かすかに増えている。
 小さな虫が、近くを通っているのが見える。

 そして、湿った雲が無くなり、明るい日差しが、空から差し込む。

 春の――命の匂いが、辺りに漂い始めている。



「…テオ君は山登りに慣れてるね」
「俺、数か月ほど騎士団にいたからさ。
 六甲山の山の中で、キャンプしてたんだぜ」

 まあ、六甲山は人工の山だから、ここのような自然の山とは少し違うんだけどな。

「なるほどねぇ」
「それに、ここ最近、山登りの依頼が続いてたし」
「その最初の依頼が、ここなんですね」
「そゆこと」

 その時、俺達の鼻先を、花の香りが過って行った。


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

テーオドリヒの日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

プレイング『円花の誕生日〜紅茶とケーキと萌えに満たされて……』

 以下は稲垣幻のプレイングです。



◆ 心境
 服装の注意事項に気づいたの、参加届を出した後だったんだ(凹)。
 円花さんの視線も、僕の姉さんのと似てる(歪んでる)し…(怯え)。

 …(葛藤中)…。

 こうなったら、とことん楽しみましょう(開き直り)。
 

◆ 会場にて
 本格英国調の子供服(貸衣装)を用意。
「似合ってるって言われても…(赤面)」

 紅茶の給仕に専念。その扱いは完璧です。

◆ 小さな意趣返し
 円花さんの最初の紅茶のカップに
『強い白桃の花の香りがする紅茶用蜂蜜』を
スプーン一杯、加えます。
 飲む前に気づかれても、飲まれた後に驚かれてもよし。

「種はこれです(微笑)」
(瓶をポケットから取り出す)

 後は参加者の皆さんに、ご自由に試してもらいます。


 ……『意趣返し』も何も、幻が勝手に自滅しただけなんですけどね(苦笑)。
 これぐらいのハプニングならば、コミックマスターの彼女にもプレゼントにもなるでしょうか。

 桜に続き、白桃の『ティーハニー』を小道具にさせていただいています。
 紅茶に加えても、スコーンにつけても美味しく頂ける蜂蜜です。
(いつも参考にしている茶葉専門店のサイトのリンクを、隅に追加しました。詳しくはそちらに)


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

背後 | コメント:0 | トラックバック:0 |

紅茶とボランティア――【3/18 幻記す】

 3月18日、朝5時。
 私は一つしかない薬缶と、ポット二種(通常のティーポットと、耐熱ガラスポット)をフル活動させていた。

 今日は河川敷のゴミ拾いの日だ。私とテオ君はその手伝いに行くことになっていた。

 昨日は『そのあと、雪柳を見に行こう』とか言ってたけど。
 その彼は、ベッドの中でミージュを抱きながら熟眠している。

 …依頼の疲れ、まだ抜けてなさそうだ。
 この様子だと、山登りはまた今度だね。


 一方の自分といえば、完全に意識が冴えていた。
 『早朝』起きは慣れてる。『エキストラ』のために何度も起きてるから。





 物心ついた時から学園に入るまで、私は姉に早朝から叩き起こされていた。
 『アイドル』『イケメン俳優』好きの姉さんは、なぜか私を道連れに『エキストラ』参加を繰り返した。
 いつも目当ての人は、望遠鏡がいるような距離にしかいないのに。


 未だに夢に見る、エキストラのエピソードはいくつもある。


 歴代史上、最多イケメン数を誇った『仮○ライダー』シリーズの、『耐久長時間ロケ』のエキストラ。
 最初は私も楽しかったけど、最後の方はほとんど眠ってた。


「『子供爆弾』撤去のため、あの子をさらって来なさい!」
 とか言われ、『出演者に近付く子供』を、横合いから引きずらされたこと。
(『子供爆弾』というのは、“子供を出汁に芸能人に近付く”という、有名なマナー違反方法……らしい)
 あの子供の親の般若顔だけは、未だに悪夢だ。


 真夏に撮影する『真冬の災害避難所ロケ』では、姉さんの用意したスポーツ飲料をいくつも飲んでたっけ。


 そんな時、いつでも姉さんは『紅茶の入った保温ポットと蜂蜜』だけは持ち歩いていた。
 ぐずる自分や周りの人に、いつもそれを手渡し、「あと少しだから」と励ましてくれた。





「『エキストラ』も、ボランティアの一種だから……か」
 姉さんの言葉を思い出しながらも、私は紅茶を保温ポットに詰めていく。

 正確には『紅茶』じゃなく、緑茶だろう。
 『桜の葉と緑茶を混ぜたものに、僅かに紅茶を混ぜたもの』だから。

 立ち上る湯気は、一足早い桜の香りを伝えてくる。


 あの時、“香りと糖分が私の疲れを癒してくれた”ように。

 このお茶が、参加者の皆の疲れを癒してくれるといいのだけれど。


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

幻の日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

テオの帰宅。

 今日の朝、『いらず峰』からテオが帰ってまいりました(ぱちぱち)。
 参加者の皆さま、MS両名様、お疲れ様でした。

テオの帰宅。…の続きを読む

テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

背後 | コメント:0 | トラックバック:0 |

花、開いて――【3/17 テオ記す】

 湯を注ぐと、黒っぽい球体は耐熱ガラスカップの中で綻び――色とりどりの花を咲かせた。

「うわあ…」
「きゅう?!」
 俺は思わず息を飲んだ。
 隣でミージュも驚いている。

「中国茶の中でも、特に趣向を凝らしたものがこの『工芸茶』です。
 目で楽しみ、香りで楽しみ、味で楽しむ。
 最もドラマティックなお茶ですね」
 幻がにっこりとほほ笑む。
「こちらは菊、蝋梅、千日紅が含まれているようです」
 説明書を確認する幻のナレーションとともに、一口啜ってみる。
 味も香りも品があり、とても落ち着く。

「うん、うまいな」
「頂き物なんです」
 そう言って幻がうれしそうに頷く。

 …ああ、そう言うことか。
 ほんとに二人してお世話になりっぱなしだな。


 それから俺達は、いろいろなことを話した。

 俺が最近行ってきた、『いらず峰』のこと。
 幻が参加した、ハーブティ・パーティのこと。
 今日の『結社の先輩達の黙示録』を観戦したこと。
 幻がしでかした、二つのミス。


 話も一息ついた頃、説明書を受け取る。そこに書かれた結社名に、俺は一つ思い出した。
「…あ、ここの結社長さん、会ったことがある」
「いつ?」
「ほら、俺の初めての依頼でさ。
 ご一緒させてもらったんだ」

 俺はふと、あの依頼に想いを馳せた。
 ああ。そういえばもうすぐだな。

「…幻。明日辺り、出かけないか?」
「出かける?」
「勇介も誘って、山登りにさ」


 あの『ゆきやなぎ』は、咲いているだろうか。


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

テーオドリヒの日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

報告書【氷炎の狼 テーオドリヒ・キムラ】-03

【II-ii】


「夢の中では、鬱蒼と茂る松並木と桜がその頭上と左右を覆っています。
 また、テキ屋の屋台と、ビニールシートが並び、観光客もたくさんいます。この観光客は、言わば人影のようなもので、通り抜けることができます。
 夢の中には、彼自身の姿はありません。

 問題となる『ネジ蟲』は、川の半ばに刺さっています。
 耳を澄ませば、歓声の中からこの蟲の声が聞こえてくるでしょう。
 それを辿れば、すぐにたどり着けます」

 彼女はやや眉根を寄せながらも、『ネジ蟲』と呼ばれる生物の外見的な特徴と、攻撃方法を淡々と説明していく。
 大まかには、大工道具の『ネジ』とは変わらず、そこに目と触手がついていること。
 範囲攻撃を得手とすること。
 

 ですが、と彼女は顔を曇らせる。


「彼のネジ蟲を退治しても、それだけでは彼の洗脳は解けません」
「どうして? ネジ蟲が原因なんだろう」
「どうも、彼自身が『そう思い込みたがっている』部分があるようでして…」
「なんでそんな…」
 予報士は悔しげに唇を噛み、だがすぐにまっすぐに能力者を見上げた。
「そこまでは、私の力が足りなくて分かりませんでした。
 ですが、ヒントはなんとか分かりました」
 そこで彼女は3つの指を立てる。

「ひとつは、彼の義理の両親について調べること。
 ひとつは、6月ごろに彼を保護した騎士団から事情を聞くこと。その一人はもうすぐ、ネジ蟲の除去が終わるはずです。
 そして残る一つは、彼の夢の中からその両親を探すことです」
「義理の両親を?」
「ええ。そこに答えがあるようです」

 そして彼女は最後に、こう続けた。
「彼は本当に両親に愛されているようです。
 どうか、ご両親のためにも、救ってあげてください」



テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

報告書【テオの過去話2】 | コメント:0 | トラックバック:0 |

報告書【氷炎の狼 テーオドリヒ・キムラ】-02

【II-i】

「皆さん、集まってくださってありがとうございます」
 飯嶋茉莉(小学生運命予報士)はそう言って頭を下げた。
 つい最近覚醒したという彼女は、12歳にしては小さな背をぴんと張り、通るアルト(いっそ、テナーというべきか)の声で語りだす。
「先日の『人工島の戦い』は、皆さんの記憶に新しいことと思います。
 相手側に立っていた人狼の皆さんの夢の中に、奇妙なものが埋め込まれています」
 そこまでは能力者達も知っていた。
 
 人狼騎士・エルザの夢の中で、『悪意の塊』を具現化させたような、おぞましい『生物』を発見された。
 他の能力者達が、それを撃破したことは学園でも話題になっている。

「私達は『人狼と吸血鬼の戦争』の原因となった、この『ネジ蟲』を除去しなければならないようです」
 これ以上、現状が壊れる危険因子はなんとしても排除しなくては。
 彼女は堅い声で言う。


「今回皆さんに潜ってもらう夢の持ち主は、“氷炎の狼・テーオドリヒ・キムラ”君です」
 彼女が見せた写真には、暗めの銀髪をした十歳前後の少年の姿があった。
「ああ、彼か」
 人工島での戦いで見かけたらしい。能力者の一人が声を上げる。
 細身の長剣を引き摺られるように無謀に振り回し、能力者の集団に臆することなく突っ込んでいた。
 すぐに取り押さえられていたが、悪罵と敵意を尽きることなく相手にぶつけていた。
 誇り高き人狼騎士にしては、少し違和感を感じたものだ。


「彼の夢の中は、満開の桜並木の下にある河原です」
「桜?」
 驚いた声が上がる。名前も、外見も明らかに外国人なのに…?
「彼は日本人に養子として引き取られて育った、立派な日本育ちです」
 つい一年前までは、自分が人狼であることすら自覚が無かったでしょう。そう茉莉は続ける。
 ああ、それでか。
 能力者達は、彼から感じる違和感の理由を悟り、納得した。


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

報告書【テオの過去話2】 | コメント:0 | トラックバック:0 |

紅茶に潜む罠――【3/14 幻記す】

「山、外れた…」
 予想外の点数に、私は茫然としていた。
 総合得点292点(211位)。…まぁ、平均程度だろうか。

 ちなみに、ルームメイトのテオ君は340点(38位)とのこと。
『半年失踪してたから、勉強ついていけねぇぇっ!!』
とかのたまってた人の点数だろうか。


 そんな風に軽く黄昏ていた自分に、一枚のカードが手渡された。
「あれ、また案内状ですね」
 この学校では、こんな風に誕生日の案内状が配られることが多い。
 私は誕生日祝いらしい案内状を見、そこに書かれた『紅茶』の文字に心惹かれた。
「紅茶パーティですか。いいですね」
 つい先日もハーブティ・パーティに参加したばかりだ。
 依頼者は先輩――すごいお嬢様だ、と聞いたことがある。
 その自宅ならば、建物も調度品も庭も、一見の価値があるだろう。

 少なくとも、この微妙な点数に凹んでいるよりは、よっぽどいい気分転換になる。



 私は出席の印に丸をつけた後で、案内状に小さく書かれた注意事項に気づいた。


 ぴぴっぴぴっ。
 その時、私の携帯電話――テオ君から譲ってもらった、詠唱銀入りのもの――にメールが入った。
 
『幻、頼む。
 俺の分も『河川敷掃除』を申し込んでおいてくれ』

 …テオ君からのメールに、私は目を白黒させた。
 『花見』じゃなくって、その掃除を?



「あ、幻。一緒にそれ、出しとこか?」
 首をかしげている自分に対し、クラスメイトが声を掛けてくる。彼も出欠届を出しに行くらしい。
「よろしいのですか? ではお願いします」
 私は携帯電話から視線を外すと、ひとつ頷いた。
「ん。OK」
 彼はすぐに走って行った。

 そこで私は、さっきの注意事項に目を通した。



『身長150cm未満、もしくは12歳以下は半ズボン着用』


 …半ズボン…?


「嘘ぉっ!?」
 時、すでに遅く。
 返答の手紙はすでに出された後だった。


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

幻の日記 | コメント:1 | トラックバック:0 |

プレイング【弥鶴の誕生日〜ゴミ拾い行こうぜ〜】

 テオと幻のプレイングが完成しました。
 それに合わせ、期間限定でセリフも変えています。

 コメントは追記に(ネタばれ回避のため)。

 ではまずはテオの方から。

下宿のルームメイト、幻(b36617)と参加。

【心境】
「河川敷はあんたのゴミ箱じゃねぇっ!(拳握り締め)」
 でも本音は…桜を見たいだけなんだ。気持ちよく…さ。

【1】
「これ運ぶよ?
 ………うぉりゃぁぁぁっ!」
 先輩達と回収車の間を、自分の背丈と変わらないビニール袋を持って往復。

 …いや、ばててねぇ…から…(気力だけで稼働中)。

【2】
 飛ばし過ぎた…食欲出ねぇ…(でもビーフシチュー完食)。

「あ、俺。桜が終わったらもう一度ゴミ拾いをしようと思ってる」
「俺が以前住んでたとこの、近くの名所じゃ、さ。
 毎年毎年、食べ残しとか炭の燃えカスとか残してく馬鹿が多くて(眉根寄せ)」
「桜は今年だけじゃねぇしさ(にぱ)」



 次に、幻のプレイング。


 下宿のルームメイトのテオ君(b37116)と参加です。

【心境】
 きれいになった河川敷を想像すると、ちょっと嬉しくなりますよね。
 せっかくなので手伝いましょう。

【準備】
 軍手やジャージの他、保温ポット(2L入り3本)に『桜フレーバーの紅茶』を
淹れて、砂糖代わりの『桜の香りの蜂蜜』と紙コップを持参。

【1】
(河川敷全体が蕾で淡い色に色づいてるのを見て)
「ああ、もうすぐですね」

 体力はありますので、周囲の手伝いに動きまわります。

 休憩中の方にはポットの中の紅茶と蜂蜜を示します。
「お疲れ様です。いかがですか?」
「少し早い(香り)ですけれど(微笑)」

【2】
 サンドイッチと紅茶をいただきながら、聞き手にまわりますね。



プレイング【弥鶴の誕生日〜ゴミ拾い行こうぜ〜】…の続きを読む

テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

背後 | コメント:0 | トラックバック:0 |

買い物帰りと掲示板――【3/12 幻記す】

 私は大量の荷物を抱えて下宿先のマンションに帰ってきた。

 両手に食い込む複数の紙袋には、それぞれ別の有名な茶葉専門店の名前が印刷されており。
 そして残るショッピング・バッグには、メラニンスポンジや重曹、ハーブ用の肥料が詰め込まれている。


(余談になるけど。このバッグは姉がいつものごとく、
「私の大好きなアイドルが、CD発売と提携したブランド物だから!
 売上貢献に協力しなさい!」
と押し付けてきた代物。
 『白地に水色ハート』という、男が持つには抵抗のある柄が印象的)


 基本的に、これが私の買い物の定番だ。

 同じブレンドティーでも、専門店によって配合の割合が変わってくるのはよくあること。
 だからいつも、茶葉を買う場所を梯子しているのだ。

 メラニンスポンジや重曹も、茶器から茶ジミを落とすのには必須だ。
 そこに最近、園芸用具も少ないながら加わった。


「…買いすぎましたかねぇ」
 さすがに欲張り過ぎたことを後悔しながら、建物の中に入る。
 私の視界に、見慣れた掲示板が入る。

「ん?」
 そこに張り付けられた記事に、私は立ち止まった。

『――川河川敷、ゴミ拾いのお知らせ』

 なんでも、桜で有名な河川敷で近くゴミ拾いがあるらしい。
 参加してみるのも悪くないかな。
 ゴミを拾った後の達成感を想像しつつ、私は一つ頷いた。

「あ、そうだ」
 テオ君にも、河川敷のことを教えよう。
 桜に思い入れのあるテオ君なら、花見に行くだろうから。


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

幻の日記 | コメント:1 | トラックバック:0 |

テオと幻を送り出して。

 …なんだか、荷を下ろしたような、そんな感じです。
 テオは今日の朝に、幻は昨日の夜に出発しました。
 ちなみに帰宅予定はテオが18日、幻が17日です。

テオと幻を送り出して。…の続きを読む

テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

背後 | コメント:0 | トラックバック:0 |

プレイング【いらず峰の邪神 〜禍つ水刃】

 最終稿。
 決め台詞は削り、姉弟への接し方を増やしました。

 後、この場を借りて謝罪します。
 相談の最初の頃、テオがピント外れなことばっかり言っててごめんなさい(汗)。




【心境】
 姉弟は、絶対に送り届ける。
 俺にはもう、親(居場所)はねぇけど、あいつらにはあるんだからさ。
 …あいつらを守るのは、俺の贖罪。そして誓いだ。

【移動】
 俺は後続組で、正規ルートを全力で急ぐ。
 途中、橋から少しだけ離れた開けた場所に、キスリングを置いていく。
 橋の麓側にある近くの木陰に隠れ、イグニッション後、待機。
 双眼鏡で先行組や蛇の出現を観察、周囲に小さな声で知らせる。

【戦闘】
 安寿香を抱えた先輩が見えなくなったら、木陰から飛び出し、散開。
 俺は後衛。
 蛇が射程範囲に近づいた時点で攻撃開始する。

小さな声で
「(姉弟に)手出しさせっかよ!」

 先輩達の集中攻撃から外れた蛇から、『フレイムバインディング』で一匹づつ拘束を試みる。
 鷹峰先輩の指示を中心に、攻撃対象を声掛け確認しあう。

 アビリティや射撃時には、射線上に橋、もしくは先輩達の姿が無いよう、細心の注意を払う。
 全部拘束、もしくはアビリティを使い切ったら、射撃で集中攻撃に参加。

【退治後】
 まず、りょくろ先輩に携帯電話で連絡。
 後、弟担当班にも電話連絡。
「…安寿香って人、保護したんだ」
 合流ポイントを打ち合わせる。

 その後、安寿香を連れて弟班と合流。
「御利益あるといいな」
 二人には明るく振舞って元気づける。

 別れた後、祈るように社の方角を見る。
「神様。
 せめてあいつらの母親(居場所)だけは、守ってくれないかな。お願いだから」




●アビリティ
術式 フレイムバインディング奥義 ◆◆◆ ×4


●装備アイテム
武器: レベル25詠唱ガトリングガン
武器: 詠唱ガトリングガン
防具: 封印ミリタリー服
   登山靴
   ツールナイフ
   キスリング
   携帯電話
   双眼鏡


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

背後 | コメント:0 | トラックバック:0 |

試験勉強と、確かな誓い――【3/10 テオ記す】

3月9日・スケジュール。

 午前中:試験
 昼休み:プール
 午後 :試験
 放課後:先輩達と相談

 ――テオのシステム手帳より。



「テオ君、勉強する気ありますか?
 このスケジュールで?」
 幻がため息を吐きつつ、教科書を差し出してくる。
「…いや、あるって、ある!」
「まったく。とにかく、範囲を絞って教えますから」
 教科書には、びっちりとマーカーが引かれていた。重要個所がフォローされているのだろう。
「悪ぃな。これ」
「たぶん、今の君には全範囲を網羅するのは無理ですからね。
 明日の試験範囲はたぶんここです」
 …なんだかんだと言いつつ、人の面倒を見てくれる幻には感謝しているが。


「…うぐっ」
 一応、普通クラスに編入する前には、『来訪者専用クラス』での勉強もあったけど。
 失踪してた期間の勉強を取り戻したかと言えば、かなり怪しい。


 いや、『ゆとり教育』とか言っときながら、低学年に勉強を前倒しにする文科省が一番悪いんだ。
 そうだ、そうに違いない。


「ここは…」
 で、目の前の幻は比較的すらすらと教えてくれたりする。


 ……訂正。
 問題があるのは、俺の学力です。





「…ところで、テオ君。聞きましたか?」
 休憩時間に、幻が息を吐く。
「聞くって…」


 幻の言葉から判断しようにも今日は、あまりにも多くのことがあり過ぎた。
 鬼事件の進展、狂える吸血鬼の脱走…。


「亡くなったそうです、潜入捜査をしていた先輩の一人が」
「…聞いたよ」
 幻は、『ラズベリー風味の緑茶・ルイボスティーのブレンド茶』を差し出しながら頷いた。
「頭では、『死ぬかも知れない』と分かっていても……辛いですね」
「……この学園にいるってことは、そう言うことなんだろう」
「怖いですよ。ここにいることが」
「幻」



「でも、俺達が戦わなければ、『世界結界』は消えるんだ。
 俺達の、皆の居場所が、さ」
「……」
「俺の居場所は、『世界結界』があるからこそ守られてた。
 そして、その綻びで消えた。
 もう、これ以上、俺と同じことを繰り返したくないんだ」



 それが、俺の贖罪だから。



「幻。お前は死なない。
 そして、俺もだ。
 そう信じろよ」


「そう……ですよね」
 幻はゆっくりと頷くと、茶をすすった。
「がんばりましょう。未来のために。
 そして、大切な人たちのために。

 でも今は、これを飲み終わったら勉強ですよ」


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

テーオドリヒの日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

報告書【氷炎の狼 テーオドリヒ・キムラ】-01

【0】

 銀誓館には、過去の依頼の結果報告を保存する場所がある。
 報告書の数は膨大であり、内容も多岐に渡る。


 銀誓館に所属する人狼は全員、かつて『ネジ虫』なる寄生物により洗脳を受けていた。
 彼らは学院の能力者により、『依頼』という形式で洗脳を解かれたのだ。
 つまり、人狼一人一人に『報告書』があるということだ。

 ここで取り上げる一つの報告書もまた、多くの人の目につかぬまま解決・報告されたものである。


【注記:
 このカテゴリーで取り上げるのは、いわゆる非公式文…『偽シナリオ』です。
 そのため、通常の依頼とは展開が異なる部分があります】



【I】

 桜の花弁、舞う。

 ひとつ、ひらりはらり。

 またひとつ、ひらりはらり。

 冷たくなった、その体へと。



『また、来ようね。
 桜の時期に』



テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

報告書【テオの過去話2】 | コメント:0 | トラックバック:0 |

桜の香――【3/8 幻記す】

 桜の花の塩漬けを瓶から取り出し、軽く塩を払う。
 そこにお湯を注ぐと、軽く白濁した飲み物ができあがる。

 桜の花が中央に浮かんだそれは、この時期にぴったりのお茶だろう。
 広義では『ハーブティ』にもあたる。桜の花には花粉症などのアレルギーを緩快する作用があるらしいんだ。

「今日は以前に言っていた『桜茶』です」

 その言葉に、テオは何故か神妙な顔をする。

「そっか。もう桜が近いんだな……」
「テオ君?」
「ん、いや、ちょっとさ……」

 彼は言葉を濁しながら、湯飲み茶碗へと手を伸ばす。
 そして一口、飲む。

「え?」



 テオの頬を、一筋の涙が伝う。



「……旨いな、幻……。
 すごく、いい香りだ……」

 私は慌ててハンカチを差し出す。

「あ…」


 彼はそこで、『自分が泣いていた』ことに気づいたらしい。
「あんがと」
 彼はぽつりと言うと、涙を拭く。

「去年の花見のことを思い出してさ。
 ほんと、懐かしい……」

 彼は言葉に詰まったように、茶を啜る。 



 私は困ったように、ミージュと顔を見合わせる。
 でも、すぐに私はミージュに『静かに』と頼むと、お茶の時間を再開した。


 彼が『両親を想う』時間を、邪魔しないように。


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

幻の日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

勉強――【3/7 テオ記す】

「煮詰まってます?」
 幻がミージュと一緒に覗き込む。

「…いや、二度目だからさ。
 少しは余裕があるけど」

 俺はシステム手帳に書き込みつつ、考えをまとめていく。
 この手帳は、前回の依頼でもらったものだ。
 すぐに考えがいっぱいになったりする自分には、かなり重宝している。



「ゴーストが発生したときは、携帯電話で連絡すりゃいいかな…?」

「ちょっと待って!」

 
 幻が慌てた様子で止めに来る。
「どしたの?」
「テオ君、『霊障』って言葉を知っていますか?」
「れい、しょう?」
「オカルト用語です。
 幽霊の近くだと、電化製品が動かなくなることがあることがあります。
 これは現実にも、能力者によって確認されていることです」

「え…そなのか」


 全然知らなかった。


「その様子だと、まだ知らないことがいっぱいあるようですね…」
 幻はため息を吐くと、数部の資料の束を机の上に差し出す。
「これは以前に今岡先輩が予報した事件の報告書の一部です。 
 コピーの中で、参考になりそうな部分にチェック入れておきました」
「え、まさか、俺のために?」
「私自身の勉強にもなりますからね。
 『情けは人の為ならず、己の為にするものである』ということですよ」
 幻がにっこりと笑う。
 こういう事をさらっと言えるってのが、すげぇと思う。


「うわ、マジサンキュ」
 早速ページをめくり始める。


「…で、テオ君。
 能力者としての勉強もいいのですが、こほん」
 咳をする真似をして(口で言ってるだけだけど)、幻が切り出す。
「羅久井先輩も言っていましたが、10日からテストですよ。
 普段の勉強、ちゃんとしてますか?」




「………………うぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
 忘れてたぁぁぁぁぁっ!!!」






テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

テーオドリヒの日記 | コメント:1 | トラックバック:0 |

Eine neue Stelle, um zu bleiben――【3/6 テオ記す】

 部屋の中で、俺は銀のレイピアを見つめていた。


 騎士団の先輩から託された剣。
 今日、俺はその剣に、これまで使っていた長剣を加え、鍛えてきた。



「きゅうう?」
「…って、うわわっ」

 がらんがらがら……!


 頭にミージュ(幻の飼うモーラット)が乗っかり、俺の顔を逆さに覗き込む。驚いた俺は後ろにひっくり返った。

「何してるんですか、二人とも?」
 幻がエプロンを片手に首を傾げる。
 エプロンはさっき、『彼女』が俺経由で渡したものだ。幻は今度のティーパーティに着ていくつもりらしい。

「笑うなよ…」
 頭をがしがしと掻きつつ、俺は起き上った。苦笑いしつつ、ミージュを掴んで顔の近くまで引き上げる。
「脅かすなよ、ミージュ」
「きゅううん」
 ミージュはしおらしく手を前に合わせる。……こういう時、可愛らしいってのは武器だよな。
「分かったんなら、もういいよ」
 手を離されると、ミージュは幻の方へ飛んでいく。


「剣、鍛えられたんですね」
「まぁな。
 今日、依頼を受けてきた。
 これは、その成功の『願掛け』も込めてさ」
 俺は幻の前に剣を差し出した。


「銘は『Eine neue Stelle, um zu bleiben』。
 独逸語で『新しい居場所』っていう意味だ」
「ああ、ここ数日の翻訳サイト巡りはその為ですか?」
「だって独逸語分かんねぇし」
「その顔で言うと、説得力はありませんよ」
「あのさ。
 俺、容姿と名前は外国人でも、育ちは日本」
「ふふ、そうでしたね」


 それまで俺を見てくすくす笑っていた幻が、ふと真顔になった。
「…『新しい居場所』ですか」
「ああ。
 いろいろ迷ったけど、結局これにしたんだ」


 『誰か』の居場所を守れるように。
 『誰か』を新しい場所へと、送り出せるように。

 そして――俺自身の新しい居場所を、守れるように。


 この銘は覚悟。 この銘は誓い。 この銘は願い。 この銘は救い。


「次の依頼、成功させてくださいね」
「ああ、もちろんさ」


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

テーオドリヒの日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

バトルカーニバルと、帰還者達――【3/5 テオ記す】

「で、テオ君。
 今回の反省は?」
 休憩時間に俺を教室の隅に呼び出した勇介は、小声でいきなりそう切り出した。

 今日の『バトルカーニバル』のことだ。
 俺はすぐにぴんときた。

 …どうも俺は考えていることが顔に出やすいらしい。それを勇介は見かねたらしい。
 俺は溜息をついた後、やはり小声で答えた。

「…連戦を前提にして出し惜しみしたこと」


 …前回、『相手の使役』に自分のバインディングが利かなかったことがプチ・トラウマになってたのは事実だ。
 そこで、軽いアビリティ不審になっていた。

 また、『BC中はアビリティが回復しない』という注意書きにビビったのも事実であり。


「あのさ、テオ君。
 術式のバインディングが苦手なら、気迫のアビリティをたくさん使えばいいじゃん?」


「……」
 穴掘って隠れたい。
 いや、すでに掘られた墓穴に飛び込むのが先か。



「その様子だと、『存在ごと』本気で忘れてたの?」
 図星である。
「……やっちまった……」
 自分、要勉強だな。
「ま、次回に取り戻せばいいじゃん。
 なんなら、今度はテオ君がチーム立てちゃえば」
「…考えちゃいるけどさ…」
「もう。そんなに凹んでたら、誘ってくれた先輩に返って失礼じゃん」
「……そうだな」
 ぱんっ。
 俺は自分の頬を叩くと、気持ちを切り替えることをする。





 そして、位置を移動して窓の外へと視線を移した。
「おい、勇介。あれ…」
 まばらに学校に向かってくる生徒数名が、そこから伺える。
 その数もいつもより、多い。


「ひょっとして、『例の』…」
 『鬼依頼』に向かった人達!
「でも、数が少なくない?」
 勇介の言葉に、俺は弾かれるように廊下へ飛び出す。
「テオ君! 授業!」
「すぐ戻っから!」


 …『彼女』は、無事なのか?


 騒ぐ胸を無理やり沈め、俺はげた箱へと走る。


 …良かった。


 その中に『彼女』の姿を見つけ、そのまま座り込みそうになるのを堪える。
 俺は、そっと先に戻ることにした。


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

テーオドリヒの日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

レモングラス ――【3/4 幻記す】

 窓際にある小さなテラスに、私はその鉢植えを置いた。
「また、部屋の仲間が増えましたね」
 ミージュにほほ笑むと、彼女は不思議そうに啼き、鉢植えを突こうとする。
「こらこら。大切にしませんと」
 私はミージュを抱き上げた。
 詠唱銀により生命力が増えているとはいえ、やはり植物なんだ。ちゃんと世話をしないと。

「ただいま」
 ドアを開け、テオが入ってくる。  
 結社帰りだろう。

「ん、どしたんだ、それ?」
「レモングラスの鉢植えですよ。ハーブの一種です」
「ハーブ? ああ、いつもお茶に使ってる奴」
 テオが荷物を下ろすのを見ながら、私もお茶の準備を始めた。

「頂いたんです」
 私はティーカップやレシピ本などを先輩から頂いたことを話した。
「あの先輩らしい。
 どれも幻にぴったりだな」
 テオも、にっこりと笑う。
「ますます憧れてしまいますよ、私」
 カップの柄にも、先輩の素敵な人柄が出ていた。


「ハーブというのは、広義では、薬効を持つ植物全てを指します。
 そうすると、ほとんどの植物が含まれちゃうんですけど」
「そうなのか?」
「そうですね…」
 首を傾げていると、ふとテオの写真立てが目に入った。
 そこに映る『ハーブ』を見つける。
「桜の花も、そうですよ」
「え?」
 今度こそテオが面食らう。

「桜の花から入れた桜茶も、ハーブティの一種ですね」
 その様子に、私はくすくすと笑う。

「お前、ほんと生き生きしてんよな。お茶の話になると」
「だって好きですからね。
 今度、桜茶も淹れますよ。
 意外とおいしいんですよ?」

 そう言いながらも、私はそっと鉢植えから葉っぱを数枚いただいた。
「でも今日は、レモングラスのハーブティにしましょう」
 そして私はティーカップを三つ取り出した。


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

幻の日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

プレイング【悠人の誕生日〜香草薫るティーパーティー〜】

 以下、『稲垣幻』のプレイングです。
 コメントは後述です。



◆ 心情
 招待状を貰ったので、お手伝いに来てみました。
 …え、誕生日パーティでもあったのですか(軽く驚く)?

◆ 準備
 先輩と相談した後、茶器や茶葉の準備をしましょう。
 ハープティーは日本茶と同じ要領で淹れるんですよ(慣れた手つき)。
 蜂蜜、レモン、『耐熱ガラスのティー・セット一式』も持参しました。
 『カモミール紅茶』『ミントティー』の用意もしましょう。


◆お茶会
 給仕を手伝いましょう。
 途中、羅久井先輩と微笑みながら目配せしあった後、ガラスポットのマロウに湯を注ぎましょう。
 最初はきれいな青紫色の茶が、時間によって変化する
(→赤紫→赤茶→透明。レモン汁でピンクに)のを皆さんに楽しんでもらいます。


 …はい、幻のお茶好きっぷりが炸裂です(苦笑)。

 背後としてはむしろ幻の印象よりも、お茶会そのものをPC達が楽しんでいただく方が嬉しいかもしれません(←待て)。
 皆が喜んでもらえれば、それが羅久井先輩へのプレゼントにもなりますからね。

 私自身がお茶好きなので(今も『白桃の紅茶』などを飲んでいる)、このイベントはぜひ参加させていただきました。
 さて、MS様がどう判定し、描写されるのか。とても楽しみです。


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

背後 | コメント:0 | トラックバック:0 |

銀誓館プールの秘密――【3/2 テオ記す】

 数日前、プールを見に行った時の光景を思い出す。

 観客や選手の前、室内型プールの床が割れる。
 そして、その下には広大な模擬戦用コロッセオが広がっていた。



「テオ君、今度『黙示録』に参加するんですね」
 幻が興味深そうに覗き込んでくる。
 プールで行われる模擬戦は、その形式によって『黙示録』と『バトルカーニバル』の二つに分かれる。
「まぁな。
 先輩が誘ってくれたんだ」

 正直、誘ってもらえたときは嬉しかった。
 依頼とは違い、純粋な訓練だ。楽しもうと思う。
 
「私も応援に行きますよ。
 がんばってくださいね」
「サンキュ。
 …うーん、武器やアビリティはどうすっかな?」
 俺は頭をがしがしと掻いた。

 これはほかの先輩達の作戦との兼ね合いもあるが、自分の最高火力を持っていくべきだよな…。

「考えるのも、訓練ですよ」
 くすくすと笑いながら、幻が新しい紅茶を注ぐ。カモミール・ティーという、紅茶とハーブの混合茶らしい。
「今の銀誓館を取り巻く状況は、残念ながら不穏ですからね。
 できる間に実力を上げておくべきでしょう」
「ああ」
 陰陽師に、吸血鬼に、雪女に……土蜘蛛衆。そしてまだ見ぬ来訪者達。
 不穏因子は山のようだ。


「それに」
 幻が俺の懐の視線をやる。
「剣を鍛えるのも、まずは強くなってからでしょう?
 いい機会ですよ」
 胸のカードの中の、剣を指して言う。


「そうだな」
 付けるべき銘もまだ、ぼんやりとしか定まっていない剣。
 だが、いつかその剣を、去って行った騎士団の先輩に掲げるためにも。

 今は一歩一歩、強くなっていくしかないんだ。


テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

テーオドリヒの日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |

スパイ小説好きの未来(後半)――【2/29 テオ記す】

(昨日の続き)

「じゃ、テオ君は将来スパイになるの?」
「…んー、そう思ってた頃もあっけど」
「テオ君なら欧米人の振りをしてもばれませんからね。
 適役かもしれません」
 納得したように幻が言う。
「どうだろな」
 俺は苦笑いした。
「今は将来のことなんて考えてる余裕ねぇし」
 ほんとに…いろんな事ばかりで、追いついていくのが精いっぱいだ。
「そうかもしんないけどさぁ。
 今こそ、『なりたい』ものぐらい言っててもいーんじゃないの?」
「そうですよ」

「じゃ、そう言う幻は何になりたいんだよ」
「うーん、そうですね…。
 絵でも描きながら、優雅な午後を…」
「ディレッタント(国潰し)への道をまっしぐらだな、おい」
「失礼ですね。ちゃんと別に仕事はもちますよ」
「…いや、だからその仕事の話をしてんだろ。
 そっちを先に言えよ」
「あ」
「幻君、そこまで考えてなかったの?」
「図星かよ」

「じゃ、勇介は?」
「パイロットとか、アイドルとか、警察官とか…」
 片手を折りつつ――いや今、片手を超えた――いっぱい職種を上げる。
「一つに決まってないのか」
「うん」

「なんだよ、それじゃ…」
「テオ君のこと、あまり言えませんね」
「うん」

 俺たちは思わず顔を見合せて笑った。


 今はまだ、将来なんて分からねぇけど。
 せめて少しでも長く、皆と一緒にいられればいい。

 …なんて思う自分は、夢がねぇかな。

 

テーマ:Silver Rain - ジャンル:オンラインゲーム

テーオドリヒの日記 | コメント:0 | トラックバック:0 |
| HOME |