テオの銀の雨降る日々

 詳しくは<<はじめに>>をご参照ください。


スパイ小説好きの未来(前半)――【2/29 テオ記す】

 今日、第一期生が卒業した。
 この後、先輩達は卒業旅行に行き――そして、それぞれの道を歩くらしい。

「あ、でも卒業旅行に行かない先輩もいるんでしょう?
 潜入捜査に行かれるとか」
 昼休みの教室で、幻がサンドイッチをほおばる。

 二日前までお互い勘違いしてたようだが、幻もキャンパスは一緒だったのだ。
 それを知ってからは、昼休みまで一緒に食べるようになった。

「アンダーカバー、って奴だな」
 新しい土蜘蛛の勢力との接触に成功した先輩達が、そこに潜入するらしい。
 その話題は学院の能力者の間で話題になっていた。そこには今日卒業する先輩も数名いるとのこと。

 できれば友好関係に持っていけるといいんだが。
 土蜘蛛の姿をした人たちと戦うのは――そして、世話になった先輩達がそこにいる状況は、やっぱ嫌だからな。

「あんだーかー?」
 勇介が卵焼きを咥えながら、首をかしげる。
「英語だ、英語」
 幻が用意したお茶――今度のはマスカットの匂いがする緑茶――を入れたコップを手に、俺は指摘する。
 スペルがわからないのは秘密だが。
「詳しいんですね」
「まぁな。これでも『スパイ物好き』だったんだぜ」
 この一年近く、映画や本を見てねぇけど。
「へぇ、はじめて聞いたよ」
 勇介が目を丸くする。
「親父が『007』とか『ミッションインポシブル』をよく見せてくれたから」
 小学生低学年に見せてもいい内容かどうかはおいといて。


(明日の後半に続く。)


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背後さんの初依頼(リプレイ編)

「き、綺麗〜! かっこよすぎる〜!」

 返却されたリプレイを読んだとき、私はじったんばったんと転げまわりました。


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『バトルカーニバル』観戦――【2/26 テオ記す】

「テオ君、行きますよ」
 昼休みに揚げパンをかっついていると、いきなり幻が乱入してきた。


 ……って、待て。おまえはキャンパスからして違うだろうがっ!


「忘れましたか? 今日は…」
 ここで幻は声を潜め、
「君の所属するところが、出るんでしょう?」
「忘れるわけないだろ」

「今から見に行きますよ」


 …だから、ちょっと待て。


「俺は見に行く気だけど」
 そんために、勇介にはノート取りを頼んであるが。
「なんで、お前まで」
「君の先輩には以前、『お土産を貰った』恩義がありますからね。
 応援に行かずにどうするんですか」

 そこで差し出されるのは、銀色のポット。

「応援で喉を傷めた時のために、特製の柚子茶もたっぷり用意しました。
 姉特選の柚子蜜で作りましたからね」


 満面の笑みで言う幻。
 …こいつ、先輩のファンになったな。


「テオ君も幻君も行ってきなよ。
 どうせ、テオ君は勉強も手につかないみたいだしさ」
 そう言って意味ありげに教室の後ろの方の席を見やる。
「勇介、余計なこと言うなよ!」
「…ああ、あの席の人が彼の本命…」
「幻も! 余計な詮索すんなっ!
 行くぞ!」
 揚げパンの残りを鞄に詰め込み、俺は幻の背中を押した。

 ……あいつが『鬼依頼のサポート』に行ったと聞いて、不安にならないわけがないだろっ。

「彼女、依頼みたいですね。
 信じなさい。少なくとも、君よりは強い人なのでしょう」
 俺の動揺を見透かしたように、幻が言う。
 その言葉が、俺の苛立ちを一気に吹き消した。
「……そうだな」


「分かったなら、今は観戦ですよ。
 さ、急ぎましょう!」 


 俺は不安をふっ切り、プールへと走り出した。




追記:先輩方、二回勝ち抜きおめでとう。



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帰還――【2/26 テオ記す】

 帰ってきた。

 駅を降り、下宿先のマンションに向かう途中。
 ビルの谷間から銀誓館の建物の一つ――鹿苑寺キャンパスが見えた。

 帰ってきたんだ。

 俺は、その建物が無事であることに思わず泣きそうになった。





 俺は、はじめての依頼から帰ってきていた。
 戦闘中は無我夢中で、感情を挟むような余地はなかったけれど……。


 終わってみて、思った。


 それはずっと綺麗で、激しくて、危険で――

――それ以上に、悲しくて、やるせなくて、切なかった。


 戦いの後、崖から降りて、皆で自縛霊の跡を弔った。
 少女の思い、夫妻の願い、雪柳の花としての思い――。

 彼らを悼み、気遣う先輩達の言葉が、胸の中に降り積もった。

 『――』は、俺も同じなのに。でも、彼らはやり直せない。
 その事実が、消えてしまった花々と重なって、どこまでもやるせなかった。


 こんな想いを抱えて、俺達は戦い、生きていかなきゃいけないんだ。





 悲しみも、やるせなさも、きっと消えることは無い。
 そして忘れるつもりもない。

 だからこそ――帰る場所が欲しい。
 この胸の痛みを抱えたままで、生きていける場所が。


 なぁ、ここは俺がいていい場所なんだよな?
 ここで、生きていていいんだよな?



 俺はいつしか走り出した。
 大切な――俺に居場所をくれた人々の元へと。



参照:『珍珠花波乱 〜ゆきやなぎみだれちる〜

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BU、申し込んでみました。

 昨日、早速ながらテオの『バストアップ』イラストを申し込んでみました。
 リクエストが承諾されるかどうか、3/2までハラハラしっぱなしです。

 美術館を巡りながら探した中から、自分の趣味に近い(&テオらしさが出そう)な絵描きさんなので、決まってほしいです。
 承諾から一か月ぐらい、自分は余裕で待てますから。


 実はちょっと気になるイベントシナリオもありまして。
 そちらに参加するかどうかは、背後の余力と26日の結果次第です。テオの設定を掘り下げられそうなので、ぜひ参加させたいです。


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ミージュと神戸の壺焼きケーキ――【2/24 幻記す】

 ある日の午後3時。
 まだ、ルームメイトのテオは帰ってきていない。
 電話で「26日には帰れそうだ」って連絡はあったけれど、無事なのか少し不安。


「ミージュ、冷蔵庫からケーキを出してください」
「きゅう?」
 グレート・モーラットのミージュが、冷蔵庫を開けて戸惑う。
「ああ、そこにある緑の壺と茶色の壺ですよ」
「きゅうう?」
 更に戸惑った声を上げるミージュ。
 私は笑うのを堪えながら、ティーポットに茶葉を入れた。

 今日はミントのフレーバーティ。味の濃いものには、さっぱりしたミントの香りが合う。
 90℃に調整した湯を注ぐと、香りが部屋中に広がった。


 昨日、はじめてゴーストタウンを訪れた。
 テオ君が時々話していた先輩が、自分に声を掛けてくれたんだ。
 彼の言う通り、確かに素敵な人だったな。


 で、その帰りに、以前テオ君に教わった神戸のケーキ屋にお邪魔したんだ。
『母さんがよく買ってきてくれたんだ』
と、いうケーキを選んで。

 ミージュが壺を置いた机の上に、ティーポットを置き、しばらくは香りを楽しむ。

「ミージュ、開けてごらん」
 壺の蓋をあけると、中にはチョコレートケーキと、抹茶ケーキが詰まっていた。
 一すくい食べたミージュが、嬉しそうに「きゅうん」と鳴く。

「じゃ、私も」
 しっとりと重みのある生地の中に、栗が隠れてる。
 一口食べてみると、紅茶に負けぬ濃厚な抹茶の香りが広がった。
 うん、確かにおいしい。
 
 これならテオ君のお母さんが夢中になったのも分かるよ。

「美味しいですね、ミージュ」
 モーラットに微笑みながら、私は紅茶を注いでいく。
「熱いから気を付けてください」


 テオ君は、亡くなった両親のことを話すのをためらわない。
 詳しくはまだ分からないけれど、複雑な事情らしいのに。
 それでも、 彼は両親の記憶を、愛おしげに話す。


 感情の起伏が激しくて、時に戸惑うこともあるけど。
 そんなところがあるから、友達でいれるんだと思う。


 ケーキをほおばるばかりに、頭の半分まで壺にうずめるミージュ。その頭をなでながら、私は言った。
「テオ君には、早く帰ってきてもらわないといけませんね。
 ミージュのことも紹介しませんと」
「きゅ?」
 その表情を見ながら、私はもう一度笑った。



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テオと幻の設定整理

 テオが留守にしている間(26日に帰宅予定)に、テオの外見設定を整理しておこうと思います。
 理由は“テオのイラスト注文に備えて”です。



★ テオの外見まとめ。

 ・ 燻し銀の短めのソバージュ。
 ・ 少しきつめの少女とも紛う、中性的な輪郭と鼻筋。
 ・ 瞳は意志の強い少年のもの。唇はやや厚め。
 ・ 首には、黒の首輪型チョーカー(狼変身時には、これで犬の振りをすることも)
 ・ ワインレッド色の薄手パーカーに、黒のシャツ
 ・ 左手首には腕時計(やや大きめで不格好。父の形見)。
 ・ 剣はレイピア。黒の鞘に、細い銀鎖が纏わりつく。柄は黒革が巻かれ、滑り止めは銀。

★ イグニッション時の姿。

・ 右手に剣を、背中に詠唱ガトリングガンを。
・ 剣の刃は銀色・かつ直刀。
・ 鞘にまとわりつく銀鎖の片端は、首元のチョーカーにつながれている。
・ 背後に狼の影

 剣は4年に昇級後、更にレベルが3lv上がった時にオリジナル強化し、その時に銘をつけようと思っています。
(2レベルの鉄球があるので、多少はそれで調節していこうと画策中。)

★ アイコンで欲しいもの

・ 普段の顔
・ 狼(深い銀色の体毛)
・ ギャグ(怯え)




 そして、幻の設定も一部変え、ブログのプロフィールにも追加しました。

 まず、モーラットのかわいさに負け(たぶん、そんな方も多いと思われます)、数日前からバイトを『ヘリオン』から『グレート・モーラット』に変更。
 そして本日、シルバーレインでの設定を管理人の趣味に近付けました(もう、モデルになった方の面影は無い)。

 背後の趣味に近い(そして、テオの趣味ではない)イベント・シナリオには、幻に行ってもらうことになります。
 これで『カフェイン飲料』関連や『建築物巡り』や『古本市』などのイベントにも参加できるっ(ぐっと拳を握りつつ)。

 結社に入って動くだけの余裕が背後にないので、今は入る予定がありません。
 幸運度は『自動回復』任せになるので、彼が通常依頼に入ることはまず少ないと思います。

 幻視線の日記も出てくるかもしれません。
 お楽しみに。

 

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無名の剣 - V 【08/2/10 テオ記す】

「そして、この剣も…さ」
 カードを示す。
「くれたんだ。『吸血鬼と戦う力だ』ってさ」




騎士団のキャンプで、俺は事情を一部話した。
「こいつを使え」
 最初に俺を拾った男は、そう言ってこの剣を差し出した。
「予備として、我が家から持ち出したものだ。
 それだけ軽かったらば、そなたでも使えるだろう」
 俺はそれを受け取る。
「…って、どこが軽いんだよ」
 見た目なんかより、こいつはずっしりと重かった。
 その時はまだ扱えそうになかった。
「…鍛えるのだな。
 それさえ使えないようなら、足手まといだ」
「何だと!?」
 俺は食ってかかった。
「いい加減にしろよ、あんた! 俺だってあいつらが憎いんだっつーの!
 親の敵なんだからなっ!」


 今なら分かる。それが逆恨みだってことは。

 でも、そんなことすら分からないぐらい、あの時の俺の心は歪まされていた。
 ――そして、事実を認められないぐらい、弱かった。




「…差し湯、沸かしてきますね」
 苦く、そして温くなったアールグレイを指して、彼が言う。
 幻が席をはずし、再び湯が沸かされる。
 俺は、もう一度カードを見つめた。




 男は鞘に収まった剣を、もう一度突きつけてきた。
「こいつは、俺の家に伝わる剣のうちの一つだ。
 銘こそないが、由緒は正しく、そして力を持つ剣だ。
 俺がこれをお前に託すのは、お前ならば強くなれると信じているからだ」
「んなこと言ったって…」
「そなたが強くなり、使いこなせるようになったならば。
 今度は、そなたがこの剣を鍛えよ。
 そして相応しい銘を、そなたが付けるが良い」


 そしてまだ、俺は剣に銘を授けてはいない。




「そのようなことが、あったのですね。
 剣が使いこなせるようになったのに、まだ銘を付けていないのですか?」
「人に操られて剣を振るってたような奴には、まだ早すぎんだろ。
 ――いつか、この剣をくれた人に負けないぐらい強くなったとき――その時に、名づけるさ」




 その後のことは、皆が知る通りだ。
 俺たちはフェンリル召喚へと突き進み――銀誓館に倒された。




「それで、その騎士団はどうなったのです?」
「戦争が終わった後、本国に帰った」




 彼らがどうしているのか、俺には分からない。
 その後、俺もまた悪夢を取り除かれ、銀誓館に入学した。
 そしてようやく最近になって、普通学級に参入できたというわけだ。




 この話で、語るべきことはこれがすべてだろう。
 俺は、カップを飲み干し、返した。


「ごちそーさん、幻。
 ……聞いてくれて、ありがとな」


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無名の剣 - IV 【08/2/10 テオ記す】

 体を持ち上げられる感覚に、俺はゆっくりと顔を上げた。
 ポートライナーの高架を背景に、男は真剣に覗き込んでいた。
 彼の年のころは、おそらく17か18。黒髪に鷲鼻、瑠璃色の大きな瞳という印象的な顔立ちだった。

 彼は、自分の服が濡れるのも無視して、俺を持ち上げ、連れ出した。

「お主…まさか同胞か?」
 その声に、俺はびくんと震えた。
『どう…ほう?』
 狼の口は、人の言葉に向いちゃいない。そこから漏れたのは、「あぁうぅ…」という鳴き声だけだ。
 だが、その声を聞いて、彼は確信したらしい。


 彼からは、野生動物の匂いがした。


「弱っておるな。
 我らが隠れ家に来るがよい」

 俺は、その言葉に抵抗しなかった。
 疲労と緊張はすでに、思考回路を極限まで磨滅させていた。
 俺は、考えることさえやめて、そのまま眠った。




「それから、どうなったのですか?」
「俺は神戸の吸血鬼達を監視していた騎士団の一つに拾われたんだ」




 そう、俺は幸運にも――あるいは不幸にも、警察に保護される前に騎士団に拾われた。
 当時彼らは、俺の住んでいたマンションから近い処にキャンプを張っていたんだ。




「…そんな人家に近いところに?」
「もともと、阪神間は山と海に挟まれた狭い土地なんだ。
 知ってるか?
 昔は里と密着した山を里山って呼んでたけどさ。
 神戸の山は、街の暮らしと密接しているから『都市山』っていうんだぜ」




 とは言っても、神戸の登山路は初心者向けから上級者向けまでピンキリだったりする。
 難しいところは、それこそ『ヨーロッパ・アルプス山脈登山の為の練習場』として登山者に有名だし、遭難者も出る。

 …ここまでは、山登りが好きだった親父からの受け売りだけどさ。
 そんな難所に数えられる場所に潜むように、彼らは居を構えてた。


 俺は、事情を彼らに話した。
 そして彼らから、世界の真実の一端を教えられることになった。



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背後さんの初依頼(プレイング提出期間編)

 楽しかったーーー!
 もう、そう言うしかないです。
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血に染まる雪柳を、見に――【2/19 テオ記す】

 …イグニッション・カードを見る。
 大丈夫だ。ガトリングガンも番人超重洋服(名前と反して、案外スタイリッシュな洋服)も、篭めてある。

 次に、リュックの中身を確認する。
 携帯電話、ロープ、オペラグラス…。
 詠唱銀の籠った道具であると同時に、今回の作戦に深くかかわる品が、ちゃんと入っている。

 そしてやはり、詠唱銀の籠められた登山靴を履くと、俺は後ろを振り返った。

「出発するんですね」
「ああ。
 たぶん、帰るのは26日ぐれぇ…かな」
 自然と、言葉に力がこもった。
「頑張ってくださいね」
「そっちこそ、俺達がいない間に、大事になるかもしんねーんだぞ?」

 昨日の教室放送。
 そして『鬼依頼の結果報告』。

 それは、戦争につながるかもしれない、大変な事象。
 いや、片方はもう『戦争』が始まっているようなものだ。

「色ぼけ気味の君に言われずとも、覚悟はできてますよ」
「ふん、色ぼけで悪かったな」
 …ここでも言うかよ、こいつ。
 思わず頬が膨れる。

「GTでの経験とか、きっと役に立ちますよ」

「じゃ、行ってくっから」


 そこで、言葉に詰まった。


「マジ、頼むからさ。
 ……ここに帰ってきたいんだ」



 もう、居場所などないはずの俺なのに。
 『銀誓館(ここ)』が無くなることが、とてつもなく怖い。



「銀誓館の皆の強さは、君も知っているでしょう?」
「ああ」
「それでは、問題はないのではありませんか?」
 あっさりと答える幻。
 問いかけを流されたことに文句を言おうとして、俺はやめた。幻の表情に、確信めいたものを見つけたからだ。

 …幻の言う通りだ。信じないで、どうする。


「行ってらっしゃい」
「じゃあな」






 その日の正午、『鬼』がらみの事件は、とうとう銀誓館全体を巻き込んだ大事件へと発展する。

 

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プレイング決定稿【珍珠花波乱 〜ゆきやなぎみだれちる〜】

2/19 朝六時半に上げた最終稿。
 …欲張りつつ細かいところを修正したら、600字ジャスト。




◆ 心情
 初めての依頼…(表情が強張る)。でも先輩たちの足は引っ張れねぇし。
 落ち着け自分(ポケットの中のイグニッション・カードを押さえつつ)。

◆ 移動前に
 崖上に行く前に、問題の場所を離れたとこからオペラグラスで観察しとく(先輩達にも各自貸しておく)。この時に崖下への迂回路にも目当たりをつけとく。
 目当たりを元に、迂回路を確認すっか。こん時は茂みに不用意に近づきすぎねぇからさ。花の香がしたら特に警戒。

◆A-迂回路
 迂回路が見つかったら、前衛がそこに潜む。携帯電話で連携をとる。

◆B-強襲
 迂回路を見つける前に崖上に辿りついちまったら、そっから強襲に切り替え。

 崖上に着いたら、下を覗き込む前に。近くの丈夫そうな木と、前衛の腰に両端をロープで結びつける。

 俺は後衛として、崖上に残る。

◆ 戦闘開始
 ある人にもらった銃を構え目を細め、「使わせてもらっから」。

 戦闘開始の一撃目は、全員で(崖上から)息をあわせて遠距離攻撃。自縛霊が見えない場合、花の山になった茂みの中だろと目算をつけるぜ。

 俺はずっと動いている敵を『フレイムバインディング』で動きを封じることに徹する。
 ダメージは『ライカンスロープ』で自力で回復。


◆ 戦闘後
 戦闘の跡はきっと、落雷の後か何かに思われんのかな…。でも確かに花は奇麗だったよ。…マジ(心が)飲まれそうな程。
「先輩達、ご一緒させていただいて、ありがとうございました(一礼)」




(持っていくアビリティ・
 術式 フレイムバインディング ◆ ×8
 気魄 ライカンスロープ ◆ ×4 )

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嬉しい荷物――【2/17 テオ記す】

 部屋の中は、再び物で溢れ返っていた。

「…テオ君、依頼に集中するのではなかったのですか?」
 幻の視線が、ちょっと痛い。
「…ほ、ほら、煮詰まっちゃったからさ…」

「では、何故『ゴーストタウン』のお土産がこんなにあるのです?」

「そ、その…ほら、なんだ、うん…」
 苦笑いでごまかす。いや、誤魔化すしかないっ!


「2日間でゴーストタウンに3回も赴かれたり、屋上で詠唱銀を精製したり…。
 まぁ、よろしいですが」
 幻が姉からの義理チョコを俺にも差し出してくる。

「紫刻館の近くは、君の地元でしたよね…。
 デートには、誘いました?」


 俺が含んだチョコは、見事なまでに天井近くまで飛んで行った。
 思わずそれをキャッチしつつ、俺は慌てた。


「な、ななんで!?」
「ゴーストタウン、一回は先輩からのお誘いだとして。
 残り二回を誰と行ったのか、私にも話してくれませんでしたから。
 今の反応だと…」
「カマかけんなよっ!」
「ふむ…正解ですか?」
「………!!」

 勇介といい、幻といい…。
 赤面しつつ、俺は手の中のチョコを見……自棄食いとばかりに放り込んだ。

「デートは、まだ誘って無い」
 …今は、話せるだけで十分なんだから。
 いつか、誘えればいいんだけどさ。

「でも、これで心配事は減りましたか?」
「ああ」


 ネックだった、『フレイムバインディング』、そして『自己治癒系能力』の習得。
 ロープやオペラグラスなどの、作戦に必要そうな道具。

 それらがなんとかなったのは、彼女と先輩のおかげだから。
 二人に、深く感謝する。


「後は、作戦を練るだけだから」

 彼女のアドバイスを胸に、俺は立ち上がった。
「屋上に行った後、も一回、教室に行ってみる」

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二日遅れのバレンタイン――【2/16 テオ記す】

「何、その袋?」
「ぬぉうわっくっ!?」

 気配もなく近づいていた勇介が、背後から覗き込む。
 意味も無く普段からその特技をつかうんじゃねぇよっ! …アビリティじゃないだけましとは言え。

「あ…その…もらった」
 なに、耳が赤くなってんだよ自分。

「結構量があるね」
 いや、俺にとってはその中身の方が印象的だったけど…さ。

 そんな俺に、勇介は小さな声で、なんでもないことのようにさらりと言った。
「ふぅぅ…ん?
 テオ君、惚れた?」


 って、なんでいきなりクリティカルなことをいきなり!?


 俺は慌てて周りを見渡した。幸いなことに下校時間だったから、誰も近くにはおらず、聞こえてはいなかったようだが。

「お、お前なっ、前触れなしに、んなこと言うなよっ」
 勇介にかろうじて聞こえる程度まで、声を落とすのが精いっぱいだ。
 そんな俺を、勇介はにこにこと見ている。…楽しんでんじゃねぇよっ。

「黙ってろよ、彼女に迷惑がかかるかもしんねーからっ!」
「彼女、って誰?」
「秘密っ!」
「…いいよ。黙ってるから」

 勇介はそのままにこにこと笑いながら、最後に「依頼、がんばってね!」とだけ言って去って行った。

 俺はその背中を見送りながら、袋を抱きしめた。
 嵩張るものはイグニッション・カードに封じたとはいえ、その重みはありがたかった。
 それは、『二日遅れのバレンタイン』。ある意味で、本命よりもうれしいかもしれない贈り物。


 今、本当に必要なものを選んでくれた、彼女の心づかいがうれしかった。
 実際、このおかげで依頼で足を引っ張らずに済みそうだ。
 
 
――サンキュ。 

 

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パンク――【2/15 テオ記す】

「…うー」

 別に狼変身しているわけじゃない。
 俺は今、真剣に頭を抱えていた。

 依頼に参加することになり、俺もさっきまで教室の隅で話し合いに参加していた。
 他の参加者は高校生か中学生という、ずっと年上ばかりのグループで。
 無意識に体が強張ってしまう。

 …だからってそれだけじゃ、頭を抱える理由にならない。

「はぁぁ…」 
 息抜きに廊下に出、そこで冷たいウォータークーラーを一気飲みし、頭に刺激を与えたのはいいのだが。
 いい考え、というのはなかなか出てこねぇんだよなぁ。

 正直、先輩達の考えを聞いて、把握するのに精いっぱいだ。
 思いもつかないアイデアが出てきたりするし。
 意見を言おうとして、挨拶をすっ飛ばしたときは、どうしようかと思ったしさ。


 あー、くそっ。なんでここでパンクしちまうんだよ、俺の思考回路は!


『年齢が1.5倍は違うから、その分だけ頭がいい』
『実力がはるか上な分、実践慣れしている』
 そんな、単純な理由じゃないことぐらい、いくら俺だって分かる。


 …俺より、ずっと真剣なんだ。解決を望んでいるんだ。
 ちょっと血が頭に上って感情的になってる、俺よりずっと。
 だから、より深く考えられる。


 なら、俺ももっと真剣にならなきゃいけない。
 親父は言った。『自分が決めたことには、責任をとれ』と。 


 『一緒に戦う』と決めたのは、俺なんだ。
 その責任を果たすためにも。


 こんな頭の痛みになんか、負けてられっかよ!


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バレンタイン当日【2/14 テオ記す】

 寮の部屋に戻った俺の視界に入ったのは、幻がコートを着込む姿だった。
「…どーしたんだ?」
「今から、『ブリリアントウェイ』を見に行こうと思いまして」
 詳しく聞くと、どうやら赤煉瓦倉庫のあるあたりでバレンタイン・イベントがあるらしい。
「せっかくのバレンタインですしね。
 もらえないことを嘆くぐらいなら、いっそ楽しむだけ楽しむのもありじゃないかと」
 昼間に目撃した『寒空の闇鍋パーティー』を思い返し、俺はうなずいた。
「一理あんな」

 俺は肩をすくめると、部屋の中にある道具を確認し始めた。
 …確か、先輩に『ゴーストタウン』へ連れてってもらった時の、お土産のロープが無かったか?

「思ったり落ち着いているのですね。
 この前のことがありましたから、ちょっと怖かったんですが」
「…あ」
 数日前のことを思い出し、俺は慌てて立ち上がり、頭を下げた。
「…すまなかった、ほんとに!」
「いいですよ」
 苦笑しながら、幻が手を振る。
「それより、何かありましたか?」

「今日、初依頼を受けてきた。
 晩飯だけ食ったら、教室に戻ろうと思うんだ」
 その言葉に、幻はほほ笑んだ。
「頑張ってください」
「ああ」
「…もう、後悔はしないように。
 ああ、ノートと宿題ぐらいならコピーしますよ」
「サンキュ」 

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初依頼はバレンタインに。

 バレンタインでの、テオの活動。

 屋上で闇鍋現場を目撃し、テオは思わず逃げ出しました。
(注記:背後にいきなり用事ができたので、二言だけでやむなく回線切断)。

 以降、バレンタインでの特別な活動はありません。

 …おそらく、教室の隅で泣いていたと思われます(←おひっ)。


 とはいえ、テオには今日、ひとつ大きな出来事がありました。


初依頼はバレンタインに。…の続きを読む

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無名の剣 - III 【08/2/10 テオ記す】

 去年の8月。
 温暖化のためとかで、土砂降りの雨が降っていたのを、よく覚えてる。

 神戸の住吉川にかかる橋の上に、たくさんのパトカーと、警官がいた。
 推理アニメでよく見る、現場検証って奴だ。

 俺はそれを、少しだけ低い位置から見てた。




「低い、位置ですか?」
「ほら、お前だって猫になれんだろ?」
「ああ、『狼変身』の能力ですね。しかし、狼がそのあたりをうろついていれば不審がられませんか?」




 俺の首には、犬用の首輪が付いていた。
 幼稚園まで飼っていた、アベルって名前の狼犬のな。

 俺は『事件』を起して、逃げなきゃいけなかった。
 …『ネジ蟲』の言う通りにするためには、警察に捕まるわけにいかなかったからな。
 そのためには、犬に化けるのが一番だった。


 …いや、それだけじゃねぇな。
 今なら分かる。
 俺は、『目の前のこと』が現実だなんて、信じたくなかったんだ。
 『狼の視界』に、閉じこもろうとしたんだ。




 言葉に詰まり、俺は紅茶を口に含んだ。
 暖かい。そして、優しい匂いがする。

 あの時、狼の鼻についた、雨と鉄錆の匂いとは全く違う。




 雨に打たれる間に、毛皮は重く、冷たくなっていった。
 現場を離れる機会を逸した俺は、いつしか雨の中で疲れ果てて動けなくなっていた。

 その時だ。
 俺の体を持ち上げた人が現れたのは。



(2/21 一か所修正『6月→8月』)

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無名の剣【テオの過去話1】 | コメント:0 | トラックバック:0 |

入金・そして『キャッチフレーズ』

 …とうとう、入金しちゃいました。

 今回は時間はかかりますが、一番割安と思われる『銀行振込み』に。
 銀行に行く用事もあったので、ちょうど良かったです。

 前回のように、予約し損ねることはこれで無くなる…かな。
 依頼を逃した時は、自分でも驚くほどショックを受けましたから。それだけ、テオとのシンクロ率が上がってるのかもしれません。

 今回の★十個。どう使っていくのか、ちゃんと考えていきたいです。



 実は数日前に、テオの『自己紹介』と『キャッチフレーズ』を微妙に修正しています。

 キャッチフレーズは、次のようになりました。

『もう両親の代わりはいないんだよ』
   ↓
『この場所を…もう、壊したくはない』


 自己紹介でも、トラウマが快方に向かっています。


 これは、テオを動かすにあたり、感じた変化そのままに直しました。
 結社での会話に、テオが少しずつ『自分の居場所』を感じ始めているようなのです。



 そして、ここで書いている文からも、彼への少しずつイメージが膨らんでいます。

 ここの日記は、小説というには戸惑う、『思いつきそのままを形にした』だけのもの。その日に手に入れた紅茶(チョコ風味紅茶は、実際に飲みました)や、教室のイベント導入などを見ながら、思いついたことを落とし込んでいます。

 しかし、このおかげでビジュアル的にも、内面的にもイメージが膨らんでいます。

 もう少しイメージが膨らんだなら、その時にBU(バストアップの肖像イラスト)を注文しようかなと思います。

 まずは、彼が詠唱武器を手に入れた経緯から描いていこうと思います。

 

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無名の剣 - II 【08/2/10 テオ記す】

「テオ君の武器は、長剣なのですね」
「…ああ」

 俺の髪と同じ、暗い銀色の細身の刀身。柄には黒革の滑り止め。鞘は細めの銀鎖でつながっている。
 
「回転動力炉は、この柄の部分だそうだ」
 これは、入学直前に学園側に教えてもらったことだ。
「銘はあるのですか?」
「メイ?」
「名前のことですよ。
 ほら、『村正』とか『エクスカリバー』とかですよ」
 ああ、そういうことか。
「まだ、ねぇよ」



『お前が、付ければいい』

 ああ、そうだ。あの人はそう言っていたな。

「こいつは、俺が学院に来る前に、ある人からもらったもんだ」
「ある人?」
 幻が紅茶をすすりながら問いかける。
「……俺が、『十字架を背負う者(クルースニク)』だって知ってるよな」
「はい」

 どこまで、話していいのか。
 俺は紅茶カップを口に近付けながら、視界を部屋の中で巡らせた。


 …神戸警察の名の入った段ボールが、そこにある。
 
  
 なら、あそこから話し始めるか。



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無名の剣 - I 【08/2/10 テオ記す】

「テオ君、お茶しませんか?」

 休日の午後3時ジャスト。
 紅茶の香りとともに、幻が言い出す。

 …この香りだと、今日は普通の銘柄らしい。

「んと、先飲んでてくれ。
 これだけ、出ししてくっから」

 ビニール袋に突っ込んだ処分品を示しながら、俺は言った。


「今日はアールグレイです」
 慣れた手つきでポットから茶を注ぐ。…いい香りが、辺りに広がった。
「それと、姉さんがクッキー持ってきてくれたんです。
 …失敗品ですが」
 …無残に欠けたハート型のチョコクッキーが、皿の上に並ぶ。


 ……うう、いいよないいよな、貰える奴は!


 幻の姉の相手を想像すると、思わず自棄食いしそうになる。それをなんとか止めつつ、クッキーを摘む。
 焦がしたらしく、少しばかり苦い。


「無理しなくていいですからね」
「いい。今の気分にぴったりだから」


 自分で言っていて、悲しさ120%増しになる。
 だめだ、他に話題を探さねぇと。


「そう言えば、テオ君の詠唱武器ってなんなんですか?」
 俺の顔色が曇ったことに気づいたのか、慌てて幻が切り出す。

「詠唱…って、ああそっか」

 俺達・能力者が使う武器は皆、『詠唱武器』と言うんだったな。


「俺のは、これさ」
 自分のイグニッション・カードを示しながら、俺は幻に語り始めた。


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『シルバーレイン』と背後の出会い【2】

>キャラを作るだけなら無料なので、ルールブックなしでも、仲間は先にキャラを作っておけちゃう
『エッセイ(日々つれづれ)by友野詳』inグループSNE公式サイト

 その言葉を鵜呑みにした自分は、良い鴨だったと思われます(自爆)。


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苛立ち――【2/8 テオ記す】

 派手な音を立てて、整理中の荷物が散らばった。
「て、テオ君!?」
 荒れる俺を、幻がなだめようとする。
「放って置いてくれ!」
 語気強く叫ぶと、ベッドの中に飛び込む。

 荷物の整理も、勉強も、何もしたくない。

「ちくしょう…」
 怒っていた。何よりも、誰よりも、自分自身に。


 昨日の朝の朝礼のビデオに含まれていた依頼の一つに、俺は心を動かされた。
 『自我を失い、大切な人間を殺そうとしている能力者を止める』という依頼だ。


 俺は、その依頼に申し込むことができなかった。
 『一年前の自分』に、助けを出すことができなかった。


 自分には知識が無い。
 ――能力者として、力を使いこなす知識も。
 ――失踪していた一年分の勉強も。

 今は、学校の勉強に追い付き、もっと能力者のことも知らなきゃいけない。
 それができて初めて、依頼に参加できると知っているのに。


 それでも、『依頼に答えようとしなかった』自分に、納得なんかできるわけがない。


「ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう……」


 今は、叫び続けるしかできなかった。


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『シルバーレイン』と背後の出会い【1】

 2007年12月26日。

 それが『シルバーレイン』、およびPBWとの出会いでした。
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シルバーレインTRPG情報(2/6時点)

 グループSNE公式ページの新刊案内に、シルバーレイン・公式ガイド本の発売日が記載されています。

 まだオフィシャル設定を全部把握しきれていない自分には、とても待ち遠しいです。

 ま、まぁ『予定は未定』という格言があるとおり、本当に2月末に出るのかは怪しくはありますが(汗)。

 執筆は篠谷志乃さん。
 つい最近、『新ソードワールドRPGリプレイ Walts』シリーズで新境地を開いた方です(興味がある方は書評を探してみてくださいね)。私は結構好きな作家さんです。
 リプレイの方も担当されるそうなので、とても楽しみです。



 また、今月9日発売の『Role &Roll』最新刊に、先出し情報が載るそうです。
 私自身は星(『シルバーレイン』での隠喩。現金のこと)が無いので、中身は確認できませんが…。

 関心がある方は、ぜひチェックしてみてください。


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THE AU CHOCOLAT――【2/5 テオ記す】

 今日、神戸から最後の私物が届いた。

 事情が事情だけに、俺と両親の私物はこれまで兵庫県警預かりになっていたのだ。それを『銀誓館の関係者』が手を回してくれ、ここに郵送してもらえることになったのだ。

 大量の段ボールを部屋に運び込み、さらに貸倉庫に預ける分や処分する分に仕分けする。
 …これ、一週間以上かかんな。


「お疲れ様です」
 高級そうなティーカップがおれの前に差し出される。ルームメイトの幻(まほろ・b36617)が淹れたらしい。
「サンキュ」
 作業の手を止め、それを受け取ったところで……俺は凍りついた。


 この、紅茶とココアの入り混じったような匂いはなんだ?


「茶請けもありますよ」
 そこには、短冊になったチョコの山。


 これは、本命チョコのもらえる当てのない俺へのあてつけか?


「あの、これ、何?」
 とりあえずは先に聞いておく。
「紅茶です。【THE AU CHOCOLAT】(テ・オ・ショコラ)って銘柄の」
「……ダジャレ?」
「洒落、と言ってほしいですね。こちらはチョコポテトです」
 苦笑いとともに幻が答える。

 とりあえず、いただいてみる。
 飲み物のほうは、確かに紅茶の味のほうが強かった。しかし、ココアの味もかすかにする。
 チョコのほうは、塩味のライスパフ・チョコのような味だった。

「どうですか?」
「……まずくは、ねぇよ」
 ただ癖が強いから、慣れればハマるだろうな。


「少しばかり早すぎますが、本命の当ての無い者同士、自棄バレンタインと洒落こみませんか?」

 …いや、まぁ、自棄になってるのは俺達だけじゃないしな。
 数日前に見た、痛々しい空気の教室(イベント『参加したっていいじゃない。2』・イベント『ロンリー・ロンリー・バレンタイン2〜独り身達の鎮魂歌』)を思い出しながら、俺は苦笑いした。

「早すぎるっての。
 ……もう少し、もらうぜ」
 

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陰陽師達――【2/4 テオ記す】

 朝、教室に着くと、 既にざわめきが起きていた。
「テオ君、聞いた!?」
 クラスメイトの勇介(b36494)が突然飛びついてくる。…普段は影が薄いくせに、こういうときだけ妙に目立つ。
「何が?」
「何がって、今朝帰ってきた先輩達の話だよ!」

 いまいちまとまりのない勇介の話によると、どうも“学園と因縁のある奴らが再び行動を再開した”ということらしい。
 で、その内容というのが。

「―――街一つ、生贄に!?」

 正気の沙汰と思えなかった。
 いや、俺が参加していた『フェンリル』の騒ぎだって、正気ではなかったが。

 こんな事件が起こるのが、能力者の日常とでもいうつもりなのか?


 生贄になる街の幻視に、両親の死に様が重なり――俺はあわてて頭を振った。
 そして、懐のイグニッション・カードを強く押さえつけた。


 ――とにかく許せねぇ、そんなことは。

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